うつ病のQ&A
うつ病ってどんな病気なの?
うつ病は、無気力や絶望感に悩まされる心の病気
だれでも気持ちがひどく落ち込んでしまうことはありますが、しばらくするとまた以前のように元気になるものです。
ところが、いつまでたってもふさぎ込んだままで、何事に対してもやる気がなくなることがあります。
それが「うつ病」の典型的な症状です。
仕事や家事はもちろん、あらゆることがおっくうになり、それまで楽しみだったことや趣味などにも感心をもてなくなります。
やがて、「こんなにやる気がなく、集中力もない自分はだめな人間だ」といった絶望感にうちひがれ、「こんなことは、今後やってはいけないのではないか」という不安が強くなります。
また、過去を振り返ってはくよくよと後悔ばかりします。そして、「こんな自分はいないほうがいい」と罪悪感を抱き、自殺に走る人も少なくありません。
うつ病の原因は?
うつ病は現代人を悩ませる精神疾患の一つですが、実はその原因について詳しくわかっていないのが実情です。
「うつ病は、まだまだよくわからない病気なのです。現在の研究では、うつ病は単一の原因によって引き起こされるのではなく、さまざまな原因がからみ合って発症すると考えられています。
では、うつ病を引き起こすとされている原因には、どのようなものがあるのでしょうか?
1.有力なのは遺伝的要因
うつ病の原因として有力だと考えられているのが、遺伝的要因です。たとえば、親子や兄弟など近い親族にうつ病患者がいる場合、家族内でうつ病が発生するリスクは1.5~3倍ほどになることがわかっています。
また、一卵性双生児の場合、片方がうつ病になると25~90%ほどの確率でもう片方もうつ病になるという結果が出ています。
遺伝による発病は個人差が大きいため一概にはいえませんが、うつ病と遺伝的要素の関係性は極めて強いものと考えられています。
うつ病患者の子供はうつ病になるとのかといえば、必ずしもそういうわけではありません。
あくまでも発生のリスクが高まるというだけで、実際には前述のとおりさまざまな要因がからみ合って発症するものだと考えられています。
遺伝するのは、うつ病にかかりやすい体質だと考えるのが妥当でしょう。
2.よく知られている原因はストレス
ストレスは、うつ病の原因としては一般的で、非常によく知られています。
特に、人間関係や環境の変化からくるストレスは大きく、うつ病の原因になりやすいものです。
人間関係は職場や学校などでうまく関係を築けないといったこともありますが、身近な人との別れも含まれます。
環境の変化は就職や進学、転勤といったものが含まれます。
また、結婚や昇進といった喜ばしい環境の変化であっても、うつ病の発症リスクになりえます。それ自体が喜ばしいことであっても、伴う責任や期待をプレッシャーだと感じてしまうのです。
このほか、たとえば不当な評価を得ていたり、仕事で失敗をしたりといった自分自身のマイナスな出来事も、うつ病に影響を与えます。
遺伝するのは、うつ病にかかりやすい体質だと考えるのが妥当でしょう。
3.身体的な要因も
うつ病は精神疾患の一つであるため、心の状態に注目しがちですが、身体の不調もうつ病の原因になりえます。
たとえば慢性的に疲労が溜まっている場合、脳の活動も低下し、セロトニンやノルアドレナリンがうまく分泌されなくなります。
これらは意欲や気分に関する神経伝達物質であり、うつ病にも大きく関係します。
また、脳血管障害であったり甲状腺機能の異常であったり、身体的な病気にかかった際にもうつ病を発症する危険性は高まります。
4.身体的な要因も
うつ病研究の一つに、MRIやCTなどを使って患者の脳を撮影・解析するという脳画像研究があります。
その結果、うつ病患者は脳の形に異常、特に前頭葉、小脳、大脳基底核に萎縮がみられることがわかっています。
しかし、うつ病患者と脳の形の異常についての関係性は認められるものの、この異常がどのような影響を与えているのかまでは判明していません。
うつ病の診断基準は?
うつ病の診断は、診断基準をベースに行われます。診断基準としては、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類である「ICD-10」と、米国精神医学会の「DSM-IV」の2つが主に使われています。
これらの診断基準では、うつ病にみられる症状を記述した診断項目を多数あげて、それらに当てはまる項目がいくつあるかによって決めるようになっています。
また、うつ病の診断においてはうつ状態を把握するための評価スケールがいくつかあり、必要に応じて用いられます。
これらの評価スケールではうつ病の人が自己診断的にうつ状態を把握できるものもあります。評価スケールの得点が高いからといって即座にうつ病であると診断できるわけではありませんが、うつ病である可能性を疑うための1つの目安となります。
うつ病の診断基準(DSM-IV-TR)
A) 以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、(1)抑うつ気分または(2)興味または喜びの喪失である。
注:明らかに、一般身体疾患、または気分に一致しない妄想または幻覚による症状は含まない。
(1) その人自身の言明(例:悲しみまたは、空虚感を感じる)か、他者の観察(例:涙を流しているように見える)によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。
注:小児や青年ではいらだたしい気分もありうる。
(2) ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退(その人の言明、または他者の観察によって示される)。
(3) 食事療法をしていないのに、著しい体重減少、あるいは体重増加 (例:1カ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加。
注:小児の場合、期待される体重増加が見られないことも考慮せよ。
(4) ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。
(5) ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではないもの)。
(6) ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。
(7) ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある。単に自分をとがめたり、病気になったことに対する罪の意識ではない)。
(8) 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる(その人自身の言明による、または、他者によって観察される)。
(9) 死についての反復思考(死の恐怖だけではない)、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。
B) 症状は混合性エピソードの基準を満たさない。
C) 症状は、臨床的に著しい苦痛、または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
D) 症状は、物質(例:乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用、または一般身体疾患(例:甲状腺機能低下症)によるものではない。
E) 症状は死別反応ではうまく説明されない。すなわち、愛する者を失った後、症状が2カ月を超えて続くか、または、著明な機能不全、無価値観への病的なとらわれ、自殺念慮、精神病性の症状、精神運動抑止があることで特徴づけられる。
うつ病の治療方法
[十分な休養]
うつ病の治療ではくすりと並行して、十分な休養をとることが大切です。責任感の強い患者さんは、仕事を休んだり、家事をやらないことは悪いことだと思い、なかなか休みをとろうとしません。
しかし、精神的にも身体的にもストレスがかかった状態では、十分な治療効果は期待できません。
ときには休職という選択が必要なこともあります。医師が、患者さんに休職が必要だと判断した場合は、どの程度の期間必要か、全体的な見通しについてご家族が医師から説明を受け、「今は休んでほしい」という思いを患者さんに伝えてあげてください。
休むことが悪いことだと思っている患者さんにとって、ご家族から「休んでほしい」といってもらえることは、こころの負担を軽くします。
女性の場合、家族の食事、掃除、洗濯、子どものことなど、何かと気になってゆっくり休むことができません。そんなときには、入院というのも1つの選択です。患者さんに抗うつ薬の効果が認められ、症状が安定するまでの間、入院して治療以外に何もしなくてもよい環境をつくるという選択もあります。
[薬による治療]
特に精神科のくすりに抵抗感をもっている方もいるかもしれませんが、うつ病もほかの病気と同じようにくすりによる治療で、からだの中の異常を修正することが必要です。
うつ病には医師から処方される「抗うつ薬」という種類のくすりが有効であると考えられています。
[精神療法(心理的治療)]
うつ病の精神療法は、特に「ぶり返し」を予防するために効果があります。
精神療法の中の「認知行動療法」は、うつ病の患者さんによくみられる「否定的な思考パターン」を、専門的な知識と経験をもつ医師との話しあいなどによって客観的に整理し、「より柔軟な思考パターン」にしていこうというものです。
周囲の人から考え方についてあれこれいわれても、素直に受け入れられにくいのですが、医師からうつ病を引き起こさないための方法としてアドバイスしてもらえると、患者さんにも受け入れてもらえるかもしれません。
うつ病治療薬の種類
うつ病の治療には、主に抗うつ薬が使用されます。
基本的には、1種類の抗うつ薬で治療することが前提となっていますが、症状に応じて抗不安薬、睡眠薬などの薬が併用されることもあります。
これらの薬の作用や役割はそれぞれ違っています。
現在主に使用されている抗うつ薬は、この5種類です。
○SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
セロトニントランスポーター(セロトニンの量を調節する器官)に作用し、神経細胞と神経細胞の間でセロトニンの量を調整するように働きます。
不安症状を抑える作用が強いので、抑うつ状態のほか、不安症状が強い患者さんにも用いられます。
副作用は比較的少ないといわれていますが、飲み始めに、吐き気やむかつき、便秘、下痢などの消化器系の副作用があらわれることがあります。
これらの症状の多くは1~2週間で自然に消えますが、気になるときは医師に相談してください。
○SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害するため、脳内神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの両方の調整を行う作用があります。
○NaSSA(ノルアドレナリン作動性、特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
SSRIともSNRIとも異なる作用の抗うつ薬で、同等の効果があります。
○三環系抗うつ薬
うつ病を改善する効果を持つ薬ですが、一方でセロトニン以外のアセチルコリンという神経伝達物質の働きを抑制してしまうため、便秘、尿が出にくい、口が渇くなどの副作用があらわれることがあります。
○四環系抗うつ薬
三環系抗うつ薬の副作用である抗コリン作用を少なくすることを目的として開発されたくすりです。
上記の症状の他にも気になる症状があらわれた場合は、医師または薬剤師にご相談しましょう。
病気のQ&A
その他のQ&A(よくある質問の一例)
Q. 治験は安全ですか?
A.治験では、国の基準に沿って患者様の安全に配慮した綿密な治験実施計画書に基づいて慎重に進められます。 治験に至るまでの試験では、生体への安全性を確認しています。
Q. 休薬期間はどのくらい必要ですか?
A.一般的に治験の条件として、3ヶ月~4ヶ月となります。治験によっては、6ヶ月という場合もあります。 治験は試験によって全て異なりますので、必ずご予約時にご確認ください。
関東・九州の募集治験一覧
治験体験談
治験ボランティア初参加 20代男性
はじめて、「メディカルボランティアネットワーク」 より治験ボランティアに参加しました。最初は本当に怖い・危ないというイメージがありましたが、病院にいって見ると普通のちゃんとした病院でした。
4泊5日×2回の治験ボランティアに参加しました。入院生活 開始となったのですが、日に数回の採血を含めた検査のみ!もちろん制限はありましたが、残りは自由時間でゲーム三昧でした!!ほんと拍子抜けしてしまいましたが、また是非機会があれば参加したいと思います。